イベントレポート/鹿の湯MEETS「プライドマンスワークショップ」を開催しました

快生館のある福岡県古賀市は「共創」と「多様性」をキーワードに、誰もが暮らしやすい社会づくりに取り組んでいます。
LGBTQ+の権利を啓発する活動・イベントが実施される6月の「プライド月間」にちなみ、快生館でも2024年6月22日(土)鹿の湯MEETS「プライドマンスワークショップ」を行いました。一人でも多くの方が快く生きていけるよう、さまざまな性のあり方についての理解や共感を広げる場として、LGBTQ+に関するイベント開催は今年で3年目となります。

🦌鹿の湯MEETSとは
快生館で行われる、「快く生きる」「快く働く」ことを目的とした多様な学びや出会いの場です。

当日のプログラム

13:00- あいさつ
13:15- 古賀市の取組み紹介(古賀市人権センターより)
13:30- ヒューマンライブラリー (対話型ワークショップ)
15:00- 振り返り

古賀市の取り組み紹介

古賀市人権センターにご協力いただき、LGBTQ+に関する取り組みや、古賀市のパートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度についてのスライドを交え説明いただきました。
参加者だけでなく登壇者として参加した当事者の方からも質問や意見が出ており、関心の高さとともに、まだまだ多くの課題が残されている分野であることを再確認しました。

また、プライベートで参加してくださった古賀市 田辺市長も、個人の尊重と幸福追求権及び公共の福祉について規定する「憲法第十三条」が何よりも大切、という信念のもと、福岡県議会議員時代から誰もが生きやすい社会づくりに取り組んできた自身の思いをお話しくださいました。

人権センターの方や市長の講話を通じ、婚姻とパートナーシップ制度の違いをはじめ、改めて「家族」や「夫婦」とは何なのか、多様化する関係性について知識を広げることができました。

古賀市/プライドマンスの取り組み

6月になると古賀市庁舎ではレインボーフラッグの掲示とLGBTQ+啓発イベントの開催を行うほか、通年で福岡県や古賀市発行のガイドブックや啓もうグッズの無料提供を行っています。今年はストラップに加えオリジナル缶バッチ(なんと職員さんの手作り!)も登場。様々なデザインがあり、当日も持ち帰る方も多くいらっしゃいました。

啓発グッズの缶バッチやレインボーストラップは、性の多様性の理解を深めるきっかけとして身につけてほしいとの思いで制作されています。

ヒューマンライブラリー(対話型ワークショップ)

ヒューマンライブラリーとは、社会のなかで誤解や偏見を受けやすい人々が「本」になり、一般「読者」との対話をする「人を貸し出す図書館」です。2000年にデンマークのイベント内の1ブースではじまった活動で、様々な分野における相互理解の手段として徐々に世界各国へ広がっています。
今回は、3つのグループに分かれLGBTQ+当事者が「本」役となり、自身の経験やストーリーを「読者」である参加者の前で語りました。

快生館でLGBTQ+に関するイベントを開催するのは3回目ですが、当事者の方を交えての対話は初めて。センシティブな内容であるため不安もありましたが、会場は終始和やかで、中にはご自身のデリケートな部分を打ち明けてくださる場面もあり、皆が互いを認め合う、とても良い空間ができていたように思います。
当事者それぞれの伝えたいことを中心に参加者と近い距離で対話をすることで、性のあり方についての理解や共感を広げ、一人ひとりの思いや声、考えを知るなど、学びの多い時間となりました。

振り返り

締めくくりには参加者・登壇者・スタッフ全員が輪となり、振り返りの時間を過ごしました。
それぞれの立場からの感想や思い、気付きを共有したほか、「人間が人間をただ好きなだけなんだと感じた」「自分をみつめることができ有意義だった」といった感想もいただき、性の多様性だけでなく”自分とは” ”他人とは”を深く考える場となったように思います。

当日はメディアの取材も入り、LGBTQ+への関心の高まりも感じました。取材の様子は九州朝日放送(KBC)の「ふるさとWish ジモタイムズ」に掲載されています。

おわりに

三度目のプライドマンス企画にして初となる「当事者との交流」をメインに据えるには、様々な葛藤もありましたが、社内外の多くの協力者に恵まれ、今回の企画に踏み切ることができました。改めて、ご参加・ご協力いただいた皆様ありがとうございました。

「多様性を認める」、言うは易いですが価値観を変えていくには多くの時間と地道な活動の継続が必要です。日本は先進国の中でも特に理解や対応が遅れていると言われることが少なくないですが、それでも少しずつ、セクシャリティやジェンダーの価値観はそれぞれで異なることが当たり前であり、尊重されるべきものであると認められつつあるように感じます。
わたしたちにできることは大きなものではありませんが、今回の企画がLGBTQ+の理解や啓もう活動の一助となれば嬉しいですし、参加してくださった方々一人ひとりにとって、自分らしく、快く生きることを考えるきっかけになっていると大変嬉しいです。

最後になりますが、急な事情で「自分の花を咲かせるワークショップ」が中止となりましたことお詫び申し上げます。こちらについても機会を改めて実施できればと思っておりますので、是非今後の企画も楽しみにしていただけると幸いです。

(文:快生館 拠点ディレクター 相良彩乃)