オープニングイベントレポート「東京から福岡へ移住して初めての仕事。快く生きる3日間のイベントを通して見えたこと。」

この記事は運営会社であるSALTのWebサイトにてアップされた記事の転載コンテンツです。
https://way.salt.today/kaiseikan-report/

2021年11月21日(土)と23日(月)の三日間、我々SALTが新たに運営を手がける古賀市インキュベーション施設「快生館」にてオープニングイベントが開催されました。
トークセッション、風呂場アートワークショップ、出店マルシェ、上映会、風呂BAR、朝ヨガ、朝ごはんなど施設の中を使った催しの他、近くの山のハイキング、近隣の旅館での鶏すき懇親会や温泉体験など近隣の場所と連動しながら、とにかく盛りだくさんのプログラムで無事イベントを終えることができました。

我々のミッションはこの盛り上がりを一度きりにすることなく、持続的に人が集い、繋がり、価値を生み出す場所にしていくことです。この場所のこれからの可能性を今回のイベントで大いに感じることができたので、まとめたいと思います。

オープニングイベントを開催するまでの話

私は2021年9月14日に東京から福岡へ移住し、SALTのメンバーとしてジョインしました。東京での暮らしは刺激的で楽しかったものの、日々流され消費しながら生きているという感覚が拭えず、自然とより共存しながら自分の生活を自分の力でつくりあげていきたいという想いが募っていきました。

福岡という土地にはまるで縁がなかったものの、5月に旅行で来た際に、都会にも自然にも近い便利で豊かな暮らしが送れそうと直感的に感じ、すぐに移住を決意しました。そしてSALTにジョインしてから私の初めてのミッションが、快生館の立ち上げとオープニングイベントを開催するということでした。

快生館に初めて来た時の印象は、「資源には恵まれているけれど、わざわざこの場所に人が来るかな」ということでした。自然もあり温泉もあり、福岡市からも高速で40分ほどで来れる立地。ただ目立った特徴がないため、ここに人が集うためには仕掛けが必須だなと感じました。

そんな中社内メンバーでオープニングイベントのテーマやコンセプトを考えていた時に、快生館という名前にちなんで、「快く生きるとはなにか」を考え体感できる時間にしたいねという話になりました。「快生館」は今回新たにつけた名前ではなく、1925年に開業して以来歴史をあゆんできた名前を引き継がせていただいたものです。快く生きる、とは東京から福岡へ移住し快く生きるために人生のステップを踏んだ自分自身ともシンクロしました。今はまだあまり特徴がない場所かもしれないけれど、ここに集う人たちが「快く生きる」を考え体感し生み出していくエネルギー溢れる拠点にしていきたい、そう強く思いました。

オープニングイベントの準備は想像以上に大変なものでした。
とにかくこの場所でいろんな可能性を実験できるイベントにしたいという想いから、最初プログラムを詰め込みすぎてしまい、結果内容を削ぎ落とすことになったりもしたのですが、それでも二日間の泊まりイベントなので盛りだくさんの内容となりました。
ちなみにお蔵入りとなってしまったプログラムは、建物内未整備の区画を使ったお化け屋敷と近くの水辺公園をつかったキャンプイベントです。次回以降のプログラムとして温めておきます。

登壇者や出店者の選定ややりとり、それぞれのプログラムの内容や進行決め、必要備品の手配、イベントページやデザインの作成などなど、既存のSALTメンバーの力を借りながら、新しく採用したスタッフと共に汗水流しながらイベント準備を進めていきました。

イベント準備を進めていく上で大事にしていたのは、単にこの場所を使って面白いことをやりたいというだけではなく、どういうコンセプトで、どういう想いで、やりたいことを形にしていくのかということです。そしてこのイベントを楽しかったねで終わらせるのではなく、次に繋がる仕掛けがつくれるよう企みたいということです。
そんなこんなであっという間にイベント開催日になり、無事晴天で当日を迎えることができました。開催したプログラムを紹介してきます。

イベントプログラムのご紹介

トークセッション

第一部では『快く生きる×地域づくり』をテーマに、本プロジェクトに関わる古賀市役所から久保さん、(株)あわえ吉田さん、(株)SALT須賀の三者に加え、現在古賀駅西口商店街の活性化をされている(株)ホーホゥ木藤さんを招き、(株)SALT脇山の司会進行のもと、古賀市や快生館のこれからについてトークしました。

第二部では『快くはたらく×場』をテーマに、宗像市からむなかたシェアハウスオーナーの谷口さん、門司港から合同会社ポルト菊池さん、(株)SALT鎌苅が登壇し、地域ではたらくことの面白さや広域連携についてトークしました。

当初コワーキングスペースで椅子を並べてトークセッションを行う予定だったのですが、畳や芝生が敷かれたフリースペースでアウトドアチェアやヨギボーに座りながら開催した方が、より快生館らしさを感じながら登壇者と参加者の距離が近い空間でリラックスしながらトークができるんじゃないかという想いで変更しました。

市内外から、またオンラインから、様々な方々にご参加いただき、これからの未来について考え対話する貴重な時間となりました。

風呂アートワークショップ

銭湯にある富士山の絵のように、お風呂にアートがあったら面白いし素敵だよねという想いを実現すべく、artdropから講師の津島さんをお招きして開催に至りました。風呂場の壁に絵を残すことは難しかったものの、床に大きい画用紙を敷き、体全体を使ってアートを楽しむという貴重な体験をすることができました。たくさんの子供達にご参加いただき、最初は躊躇していた子たちも、次第に固定概念に捉われることなく自分の好きな色で自分の好きな場所に全身を使って描いていく楽しさを学び表現していく様子が垣間見れました。

興山園ハイキング

快生館すぐ横の登山口より約15分で桜や紅葉がきれいな興山園に行くことができます。

今回は古賀市登山協会の方々のご協力のもとガイド付きで、ハイキング体験をしました。多世代で一緒に山を登るというのは、自分の世界を広げてくれるいい時間になる気がしました。

出店マルシェ

コワーキングエリアでは地元のお店などを呼んでマルシェを開催。古賀市からは麹づくりをされている麹家さん、老舗醤油屋の青柳醤油さん、古賀農園さんのお野菜、市外からはロールケーキなどの販売をしているラ・デュ・グーテさん、アフリカのコーヒー豆を使った森林コーヒーの森永さんに出店していただきました。単に商品を売るだけなく、そこで出店者同士や参加者との対話が頻繁に生まれていたのが印象的でした。

懇親会

夜の懇親会は快生館の横にある旅館「鬼王荘」さんで、古賀名物の鶏すきをいただきました。鉄鍋に砂糖を敷き詰めて鶏肉をのせ、あめ色になるまでいったらしょうゆを回し入れたっぷりのお野菜をいれて頂く鶏すき、本当に絶品でした。
鬼王荘さんの温かい空間で、参加者との交流を楽しむことができました。古賀市から田辺市長にもご参加いただき、快いまちづくりについて語り合いました。

風呂シネマ

鬼王荘さんの美味しいご飯を食べて、偕楽荘さんのあたたかいお風呂に入ったら、快生館に戻ってきて映画の上映会です。トークセッションが開催されたフリースペースを使い、ヨギボーなどで各々リラックスしながら映画鑑賞を楽しみました。上映作品は「ハッピー・リトル・アイランド ―長寿で豊かなギリシャの島で―」。世界のどこよりも長生きで幸せと言われているギリシャの島に移住した若者が、島の老人たちから人生を楽しむコツを学んでいくドキュメンタリーです。上映後は、福岡の若者が手がけるアートクラフトアイスクリーム屋、SCREAM ICE CREAMさんのアイスクリームを食べながら感想を語り合いました。

風呂BAR

夜の締めは風呂場でのバー。お湯を張る前に風呂場で面白いことをしたいというアートワークショップ同様に、夜はBARと化しました。子供達が昼間に描いたアートを残した空間で、いとしまビールや宗像の日本酒を飲みながら、古賀農園古賀さんのDJに酔いしれる本当に素敵な夜でした。

朝ヨガ

夜飲み過ぎても朝はしっかり7時前に起きて朝ヨガがスタートしました。
講師は糸島を拠点にヨガインストラクターをしている橋口ひとみさん。銀行に10年間勤めている中で心身の不調を経験したことがきっかけでヨガに目覚めたそう。深い呼吸をしながら、自分の体や心と向き合う朝の1時間は非常に有意義でした。

地元の卵や野菜を使った朝食

朝ごはんは古賀のあおやぎたまご、青柳醤油さんの醤油をつかった卵かけご飯。そして古賀農園さんのお野菜と青柳醤油さんの味噌を使った味噌汁。ヨガ講師のひとみさん監修の古賀野菜を使ったスムージーです。古賀の食の恵みを朝から堪能することができました。

水辺公園トレッキング

朝ごはんを終えたら、いよいよイベント最後のプログラム。快生館から歩いて5分の水辺公園をお散歩し、そこから往復約2時間の登山コースをみんなで歩きました。
数々のプログラムを経てクタクタのはずなのに、自然を目の前にすると不思議とエネルギーが湧いてきます。登山後は、薬王寺の神聖な水を飲んでエネルギーチャージをしました。

オープニングイベントを終えて。快生館でのこれからの可能性。

この盛りだくさんのプログラムを経て今思うのは、生きている実感を強く感じられた二日間だったなということです。普段普通に暮らしていて、「生きている」を実感することってなかなかないと思います。それは私自身が東京で感じていた違和感であり、生きるを日々の生活でより実感していきたいという想いがずっとありました。

今回のイベントでは、快く生きるをテーマに様々なプログラムを企画しました。トーク、アート、自然、食、酒、音楽、映画、交流、体を動かすなど、これらは快く生きる上で間違いなく重要な要素であり、日々の生活でできるだけ取り入れていくべきものだと今回改めて実感しました。

快生館は程よく都会からは近いですが、気軽に来れる場所でもないため、ワーク利用にとどまらず丸一日ないしは数日間滞在しながら内省する場所として最適と感じています。川の音や鹿の鳴き声を聞きながらワークをし、お昼は鬼王荘さんでランチ。気分転換に興山園へハイキングして、夜は温泉に浸かって湯上りはフリースペースでお酒を飲みながらリラックス。そしてそのまま宿泊。加えて定期的にヨガや上映会などのプログラムを組めたら、ワーク利用者にとってプラスで楽しめる要素ができたり、地元の方々も利用できる場所として可能性が広がっていくと感じています。

まだ模索しながらではありますが、地元の方に愛されてきた薬王寺温泉・快生館を再び活気づかせ、快く生きるを体感できる場所として、みんなでこの場所をいい場所にしていきたいと思っています。個人的には来年狩猟免許を取得し、薬王寺にいる鹿を自分で狩って美味しく頂く会を開催することを当面の目標に頑張ります。

(文:宿野部真央(株式会社SALT))